生徒会

我が校は、生徒の自治が強い学校だ。これは現代の生徒が意欲的なのではなく、先代の遺した財産だ。

現実問題、あらゆる我が校の自治機構は形骸化し、その存在意義を失っている。

例えば評議会。これが他校にあるかは分からないが、立法権と司法権を握っており、我が校に於ける最高権力機関であるといえる。しかし、現在の評議員といえばどうであろうか。議題に何の興味も示さずに、ただ早急に会が終了する事を望み、揃って賛成に手を挙げる。賛成する事が悪いのではない。考えもせずに賛成するのが悪いと言っているのだ。また、生徒自身、評議会に対してどの程度理解を持っているのかは甚だ疑問であり、また、その調査すら恐ろしさのあまり出来ない。

あるいは掲示物承認。これは我が校に於て長きに渡る歴史を持ち、そして先代の大きな成果である。元来、校内の掲示物は教員が取り締まるものである。しかし、学園紛争時代、先代はこれを不服とし、生徒の手による承認を勝ち取った。その後、公認団体の発行物は事務局（当時は本部と別物）が、個人の発行物は出版審査委員会が行う事となる。しかし、生徒は今ある自由に甘んじ、これらを悉く無視し、結局現状に至る。もはや承認は無意味であり、このままでは近いうち、承認自体を撤廃するのではないかと危惧する。

他にも、委員会というものの存在意義がある。次にいうのは私個人の見解である。我が生徒会の執行機関として、生徒会本部と委員会はあるわけだが、本部が大局的な方向性を示す立場にあり、そして委員会はその実務的専門的な活動を行うものであると考える。つまり、こういうと聞こえは悪く誤解を生むかもしれないが、あえて言うなれば、委員会は本部の下にあるべきだと思う。と言っても、上下関係があるとか、偉い偉くないといった話ではない。ただ、選挙によって全校の賛同を得た者と、評議会という一部の賛同を得た者では、やはりその責任には違いがあるのではなかろうか。話が飛んだが、つまり本部と委員会は一心同体であるわけである。しかし、現時点では本部と委員会の関係は希薄であり、その結びつきは非常に脆く、寧ろ無いに等しい。また、他にも、委員会の必要性を疑問視せざるを得ない状況にある。明言は避けるが、もはやその意義を失った故解散すべきもの、委員会よりも部とすべきもの、など、現状では不要な維持費を生み出している点も否めない。

ここでようやっと生徒会本部の話になるのだが、我々の意義といえば何であろう。生徒会の執行機関の代表として、その行政権を行使する重要な立場にあるには相違ないが、しかしその行政権の殆どは委員会へ委託しており、その肝心の大局的方針も打ち出すべき時代でもない。行事運営という事が現時点での最たるものであるが、大きな行事もやはり委員会へ委託しており、この行事運営も本部の根幹たるものではない。こう考えると、我々自身が我々自身の向かうべきところを見失っているのであり、ただ雑務に追われる日々を送る無意味な存在と成り下がっているのである。


全国的な流れである生徒の無気力化は、もはや止めようがない。これは生徒に限らず、高度経済成長を終え、一定以上の富を得た日本人全体の気風に起因する。日本自身目標が無いのである。よって、その担い手たる子供も当然手持ち無沙汰。目標が無い。
しかし、東華学校に来るほどの学力を持ち合わせた生徒であれば、生徒会活動に参加する素質は持ち合わせているし、共に考えれば目標も出るのではないだろうか。私自身目標を見失っているが、しかし、全生徒の生徒会活動への参加を強く望む事に変わりは無い。これによって目標も出、且、現状の機構が生きるというものだ。